ヴィルヘルム・マイスターの修業時代より

ゲーテ著 ヴィルヘルム・マイスターの修業時代

上巻

(上流市民を振り返って)生まれながらの財産は、どれほど快適さと気楽さを与えてくれることか。(中略)この世のものの価値と無価値とを早くから見分けることができるのは、それらのものを幼い時から享受できる人であり、精神を早くから必須なもの、有用なもの、真実なものに向けることができるのは、多くの過誤を、新たな人生を始める力のまだある年齢において自得できる人なのだ。

下巻

(多くの子を引き取るナターリエの言葉)人間というものは、いまあるとおりにだけ受け取ると、その人をいっそう悪くする。その人たちがいますでに、その人たちが将来あるべき姿をとっているものとして扱うと、その人たちを導いて行こうと思っているところへ連れていくことができるのです。