知恵を愛する人間の思考

フェルマーの最終定理 サイモン・シン著より引用

 

ピュタゴラスの言葉)

人生とは国民的祝典のようなものかもしれません。ある者が賞金を目当てに、またある者は名声と栄誉を得ようとしてここに集まってきます。しかし、ここで起こることすべてを観察し、理解しようとして来る者は多くありません。同じことが人生についても言えましょう。あるものは富への愛によって動かされ、ある者は権力と支配を欲する情熱に盲目的に引きずられています。

しかしもっとも優れた人間は、人生の意味と目的とを見出すことに専心するのです。自然の神秘のヴェールを剥ごうと努力するのです。これこそ私が、知恵を愛する人と呼ぶ人間です。というのも、あらゆる点で非の打ちどころなく賢い人間などおりませんが、知恵を愛する人は、自然の神秘の鍵としての知を愛することができるからです。